INTERVIEW (hotspring  Vo.G イノクチタカヒロ)

hotspring

ロックンロールの魔法を手中にしたhotspring、
最高傑作、遂に完成!

「Fick Filly LABEL」で同時リリースされる3アーティストの中で、唯一
SEXY STONES RECORDSよりリリースしたキャリアのあるhotspring。
2010年のデビュー作より毎年、音源をリリースしながら精力的なライブ活動を展開、
その圧倒的なライブパフォーマンスが話題となっている。
今作、『GOLD』は、「黄金」──まさにロックンロールの魔法がギッシリ詰まった最高傑作。
前述した「ライブ・ホリック(中毒)」ぶりで存分に磨き上げられた
バンド・アンサンブルはもちろん、
何より特筆したいのはイノクチタカヒロ(Vo&Gt)の感情を直撃するボーカルの破壊力、そしてフックのあるメロディー、言葉が自然に耳に飛び込んでくる歌詞の表現力である。
彼らの時代の「夜明け」を感じさせるM-1“2053”でロックンロールの永遠性を歌い上げ、
轟音ロックンロールのファストナンバーM-2“銀行強盗”、M-3“ゴールド”では初期衝動たっぷりのロックンロール・ライフを、M-7“JUKE BOX”ではロックンロールが持つカタルシスについて堂々と歌い、M-10のインストナンバー“ケンタッキージェントルマン”で目一杯シェイクする。M-11“FADE AWAY”は『ARABAKI ROCK FEST.13』
にてTHE ROOSTERSのメンバー、浅井健一、チバユウスケ他と共に“BIG BEAT CARNIVAL"のメンバーとしてイノクチがメインボーカルを務めたTHE ROOSTERSのカヴァーナンバー。続くM-12、アルバムのラストを飾るラブ・ソング“BABY BABY”では、元来の作品でも顔を覗かせていたレゲエ・フレーヴァーを前面に押し出しながらも、この作品で優れた「ロックンロール」に必ず内包させる重要な要素、「ポピュラリティー」を彼らが確実に手中にしたことを確信させてくれる。
そう、言わずもがな、全12曲、全てロックンロール直結──汗だくのライブハウスのステージで拾い上げた、一掴みの砂金をこの作品として昇華したのだ。
全てのベッドルームへ、全てのヘッドフォンへ、そして全てのスピーカーへ。
沈滞したシーンに風穴を空ける、強烈なロックンロール・アルバムが完成した。

Interview: hotspring イノクチタカヒロ

■東京に出てきて何年でしたっけ?
イノクチタカヒロ: 3年弱ぐらい。
■今──思い出してたんですけど、ちょっとわからなくなっちゃった(笑)。上京してくる前にもよく東京のライブで会ってたから。
イノクチタカヒロ:そうそうそう、林さんのイベントで。ありましたね。
■3年弱を経て──遂に素晴らしい作品が完成しましたね。
イノクチタカヒロ:いやぁ、ありがとうございます。
■今回の作品に対して、バンドがどこに重きをおいたのか、という部分を聞きたいのですけれど。
イノクチタカヒロ:うーん──それを言葉にすると、やっぱり相変わらず──いい歌があって、カッコいい演奏があるっていう感じ。
■前作から少し期間が空いたじゃないですか。
イノクチタカヒロ:「VOID」からね……「次、作るのは徹底的な作品じゃなきゃダメだな」とは思ってて。「VOID」が、ラモーンズっぽいっていうか、曲も2分半以内に終わって、それを6曲、立て続けにバン!バン!バン!バン!って並べて「おしまい!」っていうのが出来て──俺はその時、それをやりたかったから、それが出来たんだと思う。それで、「VOID」がリリースになって、曲を作り始めた時に、その延長線上の曲が結構出来てはいたんだけど……ある水準には達してはいるんだけど、何か興奮しきれないっていうか──何かそれがダメだって。音も言葉も勃起してないっつーか。っていうのがあって、全然違うタイプの曲を作った時に──特に「2053」とか──良いのか悪いのか、最初自分達ではちょっと分からなかったんだけど、作ってるさなかに自分達でも発見があって、充実したし、面白がれたっていうのがあって。ただ、面白がれるようになるまでにちょっと時間が必要だったんだよね。
■でも凄い変わったことがあると思うんですよ。それはひょっとしたら、最初に東京に出て来た時から会ってるから思えることなのかもしれないけど、演奏の音量が下がった、全体的に。「VOID」出した直後ぐらいが一番デカかったかもしれない。
イノクチタカヒロ:ライブで?
■そう、ライブで。
イノクチタカヒロ:確かに、それはそうかも。
■すんごいデカかったですよね。しかも、徐々に上がっていったでしょ。
イノクチタカヒロ:そうですね。俺らはそれ気持ち良かったんですけど。スタジオに益男さん(有松益男氏)が遊びに来てくれた事があって。
■ドラマーの。
イノクチタカヒロ:そう。わざわざ来てくれて、演奏してるのを聴いて、「ボリューム下げようか?」って言って、本当に蚊の泣くような音まで下げちゃって。「え、これで演るの?」みたいな(笑)。今はそれに慣れてきたから、ちょっとライブでは上げてたりするんだけど、昔ほどは大きくないかも知れない。やっぱ、林さんも思うもんなんですね?
■あの音量、ギターがゴーッと鳴ってて、ベースが地鳴りしてて、っていうバランスでやってると、「VOID」みたいな曲が凄くカッコいいんですよね。本当に勢い一発で。でも、それを続けていたら、今回の作品みたいな曲は生まれないんじゃないかな、と思いました。今回、聴かせてもらって、「hotspringがhotspring自身のバランスを手に入れた」と思ったところが凄くあって。
イノクチタカヒロ:あー!なるほど。確かに。ちょっと抑揚の部分で、「2053」や「BABY BABY」、「JUKE BOX」はそういうバランスですよね。
■やっぱりロックバンドだから──きっと、みんなの頭の中で鳴ってるリアルな音って、音源のある程度整合された音じゃなくて、スタジオで4人が向かい合って、PAもエフェクトもほぼない中で演奏してる音だと思うんですよね。だから、一番最初にイノクチ君に音量って話をしたけれど──音量って一言で言うと凄く簡単に聞こえるけど、そうではなくて、抑揚の部分も含めたエモーショナルな部分が凄く伝わってくるな、と。
イノクチタカヒロ:そう、まさに今、林さんが言ってくれた部分っていうのをみんな、意識し始めたんですよね、何か。俺もずっとゴエさんに「全力で叩け!」って言ってたから(笑)。「気合い入れろ!」って言って(笑)。それじゃないと伝わんないって思ってた部分もあって。俺も「ワーッ!」って歌って、ギターもずっと「ゴーッ!」って鳴ってて、っていうのが俺たちって思い込んでた所があったんだけど、今は逆の事言ってますね。「ここは力抜け!」でも、力抜くとモタッたりする事があるから「でもモタるな!」って(笑)。あれ?結局「気合い入れろ!」って言ってるんだけど(笑)。
■うん、それは凄く大切なことだと思いますよ。
イノクチタカヒロ:やっぱりそうした方が──伝わりやすいっていうか、伝わってくるものもあるのかなーって思ってます。今の方が歌ってて気持ちが良いですね。
■でも、過去を踏まえての今だから、それは凄く素晴らしい事だと思います。
イノクチタカヒロ:うーん……何かこう、「作り上げたい」っていう気持ちが多分強かったと思うんで。それで何か、もうみんな訳が分かってないけれども、気持ちだけは凄く前を向いてるっていう感じに最終的になってきて。最終的に、「行くぜ!」って感じになって。それでそのままレコーディングだったから、あまり曲を、手に取って眺めずに録ったというか。逆にそれが俺は良かったのかなって思ってて。まさに曲から湯気出てる状態で(笑)。
■いつも詞を最後に書くって言ってるでしょ?それは凄く時間がかかることですか?
イノクチタカヒロ:いや……そんなことはなかったですね(笑)。意外と。
■没頭します?
イノクチタカヒロ:没頭しますね。
■ああ、僕、原稿ってそうなんですけど、最初から最後まで書き上げないと気が済まない?
イノクチタカヒロ:うん、そうそうそう。同じ。朝起きて、少ししてから書き始めて、そのまま夜のスタジオの時間まで書いてて、ちょっと遅れて歌詞を持っていって。それを歌って「おぉ、良いじゃん!」っていうのが何日間か続いて、それでみんなの士気が上がっていったっていうか。
■「BABY BABY」が凄く良かったな。初めてですよね、バラード。
イノクチタカヒロ:意外にあれが人気ですね、良かったな、入れて。
確かに、そういう意味じゃ振り切ってるっていうか。
■資料用の原稿で散々、「ロックンロール!」って書いといて何なんだけど、ポピュラリティーが今作は前面に出ていますよね。
イノクチタカヒロ:はい、そう思います。
■良いロックンロールって、全部ポップなんだけど。
イノクチタカヒロ:っていうか、ポップじゃないとダメなんですよね、俺が作るなら。そうじゃないものも好きだけど、俺が音楽をやろうってなった時に、凄い良くするにはポップじゃないと、何か変な感じになるんですよね。
■自分の中で?
イノクチタカヒロ:はい。ポップなものが好きですね。
■レコーディングのスタジオに陣中見舞いに行ったら──僕、ほんの10分ぐらいしかいられなかったんだけど、何だかみんな今までと雰囲気が違って──迷いが一切無い感じで、「これは順調だな」と思ってたんですけど。
イノクチタカヒロ:しかも時間もなかったから、集中して、「1回しか絶対やらんぞ!」って宣言をしてからやるっていう。だから凄くみんな集中してたなぁ。とにかく、3日で12曲をレコーディングして、でも、全然出来たからっていう。やっと、何かカッコいいなっていうのが出来たかな。「VOID」も凄く俺は満足したけど、でも何かもっと踏み込んだっていうか、アルバムっぽいっていうか。
■仕上がって、いよいよ世に出るじゃないですか?自信の程はどうですか?
イノクチタカヒロ:いやぁ──自信満々でしょう(笑)、自信満々ですよ!
■タイトルも凄くカッコいいよね。「THREE MINUTES GOLD」。
イノクチタカヒロ:一瞬だもんね、色々な事が変わるのって。3分間の中で変わる事なんてたくさんあると思う。
■本当ですね。そう思いますよ。最近はどうしてるんですか。
イノクチタカヒロ:うーん、生活はなかなか荒れてるね。凄い暴れちゃうってのが最近のテーマですね。だからもうパーティー会場には行かないようにする。今年は。
■何それ、何やったの(笑)?
イノクチタカヒロ:(同席したSSR堀氏の方を向いて)いやぁ……もう、俺、大勢──人がいるとダメなんだなって。
SSR堀氏:ん?なんで?つい盛り上がってしまうと?
イノクチタカヒロ:盛り上がるっていうか……人見知りからの暴れに繋がるな……だからパーティーには行かない。
■え、何したの(笑)?
イノクチタカヒロ:いやぁ、元旦、それと2日にね……(あまりに壮絶、かつヤバいので省略)。
■(一通り話を聞き終えた林、SSR堀氏)うわー!!!マジで(笑)?
イノクチタカヒロ:そう。そうだったんだ(笑)。
■そんな事件があったの(爆笑)?
イノクチタカヒロ:元旦、2日にありましたね(笑)。ちょっとパンクが過ぎたなって感じ。
これが一番今ホットな話。正月はバーニングしてました。だから今月は、練習して、曲いっぱい作ってツアーに繋げようって思ってますよ(笑)。もう、バーニングしたくない(笑)。
■はい(笑)。では最後に一言お願いします!
イノクチタカヒロ:凄くカッコいいアルバムが出来たんで、1回聴いてください!

TEXT/Interview :林 拓一朗(FIX)